<2015年12月8~9日掲載>

待機児童の話

昨年度257人を記録した待機児童ですが、今年度は保育園の開園もあり164人に減少しました。とはいえ、就学前児童の人口に占める待機児童数は狛江市に次ぎワースト2となっています。

「昨年の2月には不承諾通知を受けた母親たち50人以上が異議申立をしたことがニュース

 になったわね」 (こがねいコンパスの記事より)

「そうだったんだ~。でもなんでこんなことに・・・。」

「ひとつはそもそも保育園の定員が少なかったことね。」

「保育園を増やしても、需要が増えて待機児童は減らないっていう人もいるみたい

 だけど。」

「そういう人もいるけどこのグラフを見てみて。」

「このグラフの横軸は就学前児童人口に対する保育施設の定員、要するに保育園の定員が

 多さ。縦軸は待機児童の発生率。保育施設の定員が少ないほど待機児童が多くなるのは

 明らかよね。ちなみに赤のプロットは小金井市。あと画像は平成25年度の数字ね。」

「確かに、実際に今年は定員が増えたら待機児童も減ったし。。」

「そしてもう一つ大きな原因があったのよ。それについては次回ね。」

「待機児童が増えたもう一つの大きな原因って?」

「就学前児童数の予測を大きく間違えたのよ。次世代育成支援対策推進法という法律で

 市町村は計画を作らなければならないの。市によって計画の名前は違うけど、

 小金井市の場合は「のびゆくこどもプラン」というわね。計画では今後の年齢ごとの

 児童数を予測して、保育サービスの量とかを決めていくのね。」

「へー、そうなんだ。」

「平成22年度がその計画のスタートだったんだけど、予測では子どもの人口は徐々に

 減っていくという予測だったんだけど、蓋を開けてみたら平成22年度で0歳児841人

 に対し926人と1割も多くなっていたの。しかも、それから子どもの数は増え続けたの

 ね。」

「でも予測ってどうしても外れることはあるわよね。」

「確かにそうね。でも予測が外れても実態に合わせて保育サービスを増やすということを

 しなかったの。」

「どうして?」

「どうしてかしらね。。。議会などで『待機児童が増えている』と指摘されても

 『どうせ増やしても待機児童は増えない』『将来子どもはどうせ減るから』と言を

 左右にして対応しようとしなかったのね。」

「結局ニュースになるぐらい大騒ぎになることに・・・。」

「あとこの問題をデータも合わせて訴えた議員がいたことも問題解決に踏み出した一つの

 要因だと思うわ。昨日のグラフのような『保育サービスの量と待機児童率に相関がある』

 というようなことを示して議論することが大事ね。」

「うーん。でも本当はそれぐらい職員がわかっててもよさそうなのに・・・・」

「そうね。おそらくこれから保育園の開設もあるし、徐々にこの問題は解消に向かっていく

 んじゃないかしら。まあ予断は許さないけど。。。

 でも待機児童が多い4歳時まではその上の世代より人口が多いの。

 この世代が小学生になったら・・・。」

「学童保育が心配ってわけね。」

「そう。でも学童保育も過密化しているなかで、このままでは将来大問題になるわね。」

<2017年3月19日追加>

 基本的な問題の枠組みは変わっていませんが、データを追加します。

保育園の整備が近年私立を中心に増えていますが、待機児童数も増加、平成27年度は定員が増えたこともあり待機児童は減少しました。

 これを見ると、「保育園を増やしても待機児童が減らない」という主張を裏付けているかのようにもみえますが、

上の方の記事にもあるとおり、保育園の整備が少ないと待機児童が多くなることは統計的に明らかになっています。

今回追加のデータ。

右側のグラフで紫色が推計、実際は濃い青色。なんと20%も児童数の推計が間違っていれば待機児童が発生するのは当然、しかも「どうせ将来子どもが減るから」といって特に策を打ちませんでした。これが多摩地域最悪の待機児童発生率を引き起こした原因であり、まさに人災といえます。

 

 なお今後の予測では、2~3年後に待機児童が0になる予測が1~2年前にはたてられていましたが、新しい推計(水色の線)と実態がかい離しつつあり、早めに修正を図らないとまた前市政の轍を踏むことになってしまいます。