小金井市の常識
小金井市の常識は日本の非常識?
小金井市長選挙と同時に行われる市議会の補欠選挙。
実は小金井市議会の常識は世間の常識とちょっと違うのです。
<2015年11月20日~21日>
よく議員について市長与党、野党という言い方をする人がいます。
個人的にはこの言い方は好きではありません。
ひとつはそもそも地方自治において議会と市長は二元代表制であり、議会内閣制と違って与党・野党という区分は本来はあるべき姿ではないことがその理由。
もう一つの理由は与党野党とレッテルを貼ることであちら側とこちら側、敵と味方に分けてしまってお互いの話を聞かなくなってしまいがちになること。
敵の提案していることだから、言っていることだから反対、あるいは味方の提案していることだからオールスルー、だんまり決め込む、ではなく、いろいろな視点から是々非々で議論がされるべきだと思うからです。
ですが、いわゆる市長与党という言葉があるので、ここではその言葉を使うことにします。 が、無批判に使っているわけではないことはご理解ください。
国政では自民党が1強状態、公明党が与党という位置づけですが、小金井市政では違います。
小金井市議会の会は構成は以下のようになっています。(9月議会現在)
ちなみに定員は24名
自由民主党小金井市議団 4人
小金井自由民主 1人
小金井市議会公明党 4人
改革連合 2人
小金井市議会民主党 2人
ここまでが市長与党と言われています。ここまでで13人。議長を一人出しても12人と過半を超えることができます。
意外に思われるかもしれませんが、民主党は市長与党と位置づけられています。
議会だよりには各議員がどの議案に賛成しどの議案に反対しているか(採決態度と言います)が載っていますが、民主党は市長提案議案には全て(この議員構成になってから2年半)賛成しています。
民主党と自民党の決が割れるのは、国に対する意見書・決議を採択する場合。国の施策に反対する意見書には民主党は賛成しますが、自民党は反対となります。が、こと小金井市政に関連する部分でいうと、民主党も自民党は差がないといっても差し支えないと思います。
投票した人はそうは思っていないかもしれませんが。
あと自民党が2つの会派に分かれていることが気になるかと思います。
実は6月ぐらいまでは一つの会派だったのですが、露口議員が新しく会派を作ったことにより会派が増えることとなりました。
基本的には自民党なのですが、党議拘束に関わらず、ダメなことはダメと言いたいという心を持っているからなのではと勝手に思っています。
実は平成7年には、いわゆる自民党の議員が自由民主党小金井市議団と明政会に分かれていたり、平成9年頃には自由民主党小金井市議団と自民クラブに分かれていたりした時期があったようです。
理由はよくわかりません。最大会派から議長を出すことが慣例なのですが、そうすると議長が採決に加わらないことになるので、議長を出すのがいやで会派を割ったという話もあるようです。
改革連合の位置づけはいろいろ変遷をたどっています。
例えば現在議長を務めている篠原議員は
昭和56年に新自由クラブで当選、昭和60年は市民クラブ(民社党系?)で当選、平成元年は出馬せず、平成5年は無所属で当選するも明政会(≒自民党)に所属、平成9年も無所属で出馬し今度は市民連合に所属、これは他のメンバーをみると民主党に近い感じ、平成13年も無所属で出馬し改革連合という会派に所属、2年後に民主党の議員と組んで改革21という会派を形成、平成17年以後は改革連合で当選、民主党とは会派を同じくはしていません。
もう一人、先日辞職した五十嵐議員は平成元年に生活者会議で当選、平成5年は無所属で出馬、生活者ネットワークに所属するも平成9年の選挙で落選、平成13年は無所属で出馬し当選後篠原議員とともに改革連合という会派を結成したものの、2年後には篠原議員が抜けて改革連合のメンバーは西岡議員との2名に、平成21年は落選、平成25年に改革連合で当選。
過去には民主系に属したこともあるようですが、現在はかなり堅い市長与党とみられています。
今回はいわゆる野党の会派についてです。
野党というとなんでも反対する人たちというイメージがありますが、議会だよりをみると例えば共産党でも(という表現は適切ではないかもしれませんが)6割の議案には賛成しています。
会派を紹介すると
日本共産党小金井市議団 4人
リベラル保守の会 2人
生活者ネットワーク 2人
緑・市民自治こがねい 1人
こがねい市民会議 1人
小金井をおもしろくする会 1人
基本的には議案ごとに是々非々で各会派議決に望んでいるようです。
なぜ小金井にこんなに多くの会派があるのか?ということについて理由を考えてみると一つは小金井市議会では制度(慣例)的に一人会派でも特に不利益な扱いを受けないということ。
そしてもう一つの理由は、中央の政党だけでは拾いきれないいろいろなニーズをそれぞれ捉えようという動きが、小金井市においてはその人口規模や面積の関係で表れやすいのではないかということ。
ここに上げた会派の中でいうと共産党以外は、中央指向というよりも地元・地域指向であったり、小さい政府指向(国政ではみんなの党があったが、最近は受け皿があまりなくなっている)であったり、全国政党では捉えきれない部分を捉えようとしているのではないかと思います。
このようにいろいろな党派があることについて、小金井は極左がはびこっているなどという人もいるようですが、そういう人は旧来の敵味方・右と左、資本主義と共産主義的な二分論の考え方から脱しきれていないのではないかと思います。
そのような二分論にはまらない。全面的に自民党ではないけど、共産党でもない。中央からのトップダウンではなく、地域の声を拾ってほしい、というような声の受け皿になっているのがこれらの少数会派で、そのようなニーズは非常に多様であるのでどうしてもなかなかまとまりにくいというのが現状ではないかと私は思っています。
小金井市議会の会派を考える上でおさえておきたいのが、民主党です。
民主党そのものが、社会党・民社党・新進党などの流れを複雑にくんでいます。小金井市においても複雑な流れがあり、民主党の流れを汲む議員はかなり多くなっています。
現在小金井市議会民主党に所属する議員ははじめから民主党として出馬し当選した議員ですが、歴史をたどれば斎藤やすお議員、渡辺大三議員も以前は民主党に属していました。
渡辺大三議員は平成5年に無所属で当選、新政策フォーラムという会派を民社党系の議員と組成、平成9年の選挙では民主党から出馬し当選、市民の党と組んで市民派クラブを結成しますが、2年後には市民の党とたもとを分かち民主党・市民会議を結成します。
平成13年も民主党で当選しますが、途中で民主党を離党し、平成17年からは無所属となり、みどりの風・みどり市民ネット・みんなの党などの会派に属します。 民主党離党の背景については国保の滞納があったことについて菅直人氏が激怒したからなどという話がありますが、詳細については他のブログにお任せしますので適当にググってください。
斎藤議員は平成9年の選挙で民主党で出馬し当選、その後は渡辺大三と同じ会派に属します。
渡辺大三議員が離党した後も民主党で立候補し当選しますが、途中で離党、平成21年からは小金井市民会議として当選しています。4年前の市長選に出馬しましたが惜しくも落選しました。 離党の背景については菅直人氏の意向に背いて他の市長候補を推しためと言われていますが、これについても詳しくは述べません。
2人とも民主党を離党した経緯があるため、どちらかというと民主党とはあまりよい関係ではないことが想像されます。(想像です。個別の議案では当然是々非々で対応していると思います。)
ちなみに次の市長選挙に立候補を表明している西岡真一郎氏も民主党の流れを汲んでいます。
平成9年に行政改革の会として初当選、4年後には無所属で出馬し、改革連合を篠原ひろし氏、五十嵐京子氏、武井正明氏(社会党)と組んでいます。(2年後には篠原氏が抜けます。)
平成17年には都議選に民主党から当選、平成25年に落選するまで都議を務めます。
最初に自民党本部に就職していることからもわかるように、民主党とはいえ、やや自民党よりなのかもしれません。
4年前の市長選では民主党は稲葉市長の応援に回ったと言われていますが、都議選では自民党は木村氏を西岡氏に対して立てるなど、どうも小金井における民主党と自民党の関係は市民にわかりにくいものがあります。