公共施設等総合管理計画について

<2017年3月19日記載>

 公共施設の更新は今後小金井市の大きな課題になっていくと考えられます。

 特に小中学校は2025年には過半が築60年を超えてきます。

 財源も限られるなかで公共施設をどう再編するかが課題です。

 2016年度に公共施設等総合管理計画を策定予定ですが、市民を巻き込む動きがあまりにも弱く、今後大きな課題になると思われます。

 下記は小金井市のパブリックコメント募集にわたくしが送ったものにコメントを加筆したものです。なお、青文字はパブリックコメント以外、黒文字が本文に書いたものです。

 

(2016年11月20ブログ記事より)

 総合管理計画(案)自体は当たり前の話ばかりなので、正直コメントしにくいですが、今後の進め方についての提言を中心にコメントしました。

 というのは、小金井市においては「計画を作りながら結局実施されない」という残念なケースが非常に多いからです。

 例えば、新可燃ごみ処理施設に関する委員会、新市庁舎の基本構想・基本計画の委員会、、、市民を交えて議論して結論を出したにもかかわらず、その議論の過程でのミスリードやその後の実行力の欠如などにより、今のところ何にもなっていません。

 これでは「市民参加してもバカバカらしい」という人が出てくるのも仕方がないかと思います。

 このままではこれまでの失敗の轍を踏む可能性が高いので、今後の進め方に関する提言を行いました。

先日送ったパブリックコメントの内容を紹介します。 長文なので分けて掲載します。 また青文字は送ったパブコメには含まれていない追記の部分です。 今後の進め方として  ①早期に市民を巻き込むこと  ②待ちの姿勢ではなく早期に検討に着手すること  ③実効的な計画づくりを行うこと を提案しました。

 1.早くから市民の巻き込むことについて  

①総論段階で市の方から打って出ること

 総合管理計画に記されている基本的な方針や実施方針の内容は、当たり前のことばかりであり、説明を聞いても、読んでみても特に面白いものではない。なので待っていても参加する人は少なく、市民に浸透させることはむつかしい。

 一方で、総論段階での大まかな認識がどの程度浸透しているかにより、個別の議論になったときの合意の得やすさが変わってくる。つまり総論段階での現状認識や方向性を市民と共有することは今後の推進に当たっては極めて重要です。  したがって、市民が来るのを待つのではなく、市民の側に積極的に出て行って市民に広めていくことが必要と考えます。    公共施設等総合管理計画の市民説明会が休日と平日2回行われましたが、休日の方は私を含め市民6人(2人は私の知り合い)、平日の方は市民4人、市議4人と低調。「市民参加の手続きは踏んだ」と思っているとしたら、ここが失敗の始まりになると思います。形ばかりの市民参加をして市民参加を誇るのは有害ですらあると思います。  私も休日参加したのですが、市報やHPを隅々まで見ているわけではないので、前日か当日ぐらいにSNSで知ったぐらい。市は広報したというのですが、本気度を感じません。  「ナチュラルに自然体で最低限のことをやればよい。」というような態度はすぐに改めるべきです。  パブコメでも書いているように内容は地味で”現時点では”直接的に利害にからまないので、放っておくと市民は関心を示さず、ましてそんな説明会の場にいくというのは極めて特殊な市民ともいえます。したがって、市の方がどんどん市民の側に近づいていかないと市民に浸透させることはむつかしいのです。  

②そのための案の例  

・まずは市民に公共施設等の現状を知ってもらうことが重要。例えば市民を集めて地域ごとやテーマごとに公共施設の現状を見ていく、「公共施設探検隊」などのイベントが考えられる。企画段階で市民を巻き込むのがよい。   

参考になる例としては習志野市のバランスシート探検隊、動画にして地元のケーブルTVで流したりしている。  

パブコメの中では習志野市の例を挙げています。こちらは公共施設等総合管理計画ではなく、バランスシートですが、趣旨はだいたい同じかと思います。習志野市では、地元の大学と協業しながら高校生など若い世代を巻き込んで、その様子をYouTubeで発信しています。(地元のケーブルTVではなかった・・・・。)  最初は習志野市でしたが、砥部町や鹿児島の方にも広がっているようです。  

③地域別にきめ細かく市民との意見交換をすること  

・市のどこか一か所で説明会をするのではなく、それぞれの地域に出向いて行って説明会や上記のようなイベントをする。少なくとも市の東西南北、できれば小学校区レベルまで出向いていくのがよいのではないか。それを具体的な計画の作成を並行しながら、時間をかけてやっていくことが重要。  

小金井市は南北3km、東西4kmの小さな市ですが、その中でも坂上と坂下など地域ごとの個性があります。地方の市の人からは贅沢だと言われそうですが、市のそれぞれの地域に施設がほしいというような声もあります。  公共施設管理計画では機能ごとの縦割りではなく「横断的に考えること」が必要であり、そのためには地域割りで考える方が合理的と考えます。小さな市ですが、住んでいる地域が市のそれぞれの端の方だとなかなか課題を共有しにくくなります。  市民との意見交換を盛り上げるためにも地域ごとのきめ細かい意見交換は必要と考えます。

2.待ちの姿勢ではなく、早期に具体的な検討に着手すること  

小金井市のこれまでの市政では待ちの姿勢に入って時間を過ごし、ぎりぎりになるまで動かず、問題を大きくした例が見られます。  例えば二枚橋焼却場の次の在り方について、平成4年の段階で、調布市・府中市は離脱することがわかっていたのに、平成16年に国分寺市と協議を始めるまで実質的に検討を進めてこなかったことがあり、これがその後の様々な問題につながっていると言えます。  福祉会館にしても耐震性がないことは5年も前にわかっていたことであり、正直言って何をしていたかわからない時間があります。  こういった市政の轍を踏まないことが必要です。  

・例えば「都の方針が決まらないから。」「○○が決まらないから。」決められないといって検討を先送りすることは避けなければならない。  

・「清掃関連施設の計画がきまらないから決められない」「東京都の流域下水道の方針が決めらないから決められない」という言い訳が今の段階から予想されるので、今のうちから釘をさしておきます。

先日の説明会の後、市の方は「学校と下水道が大きな課題」と言っていましたが、一方「例えば今後合流式にするのか分流式になるのかなど、東京都の方針を待つ必要」との発言があり、例のごとく待ちの姿勢に入ってしまわないか懸念しています。  東京都の下水道計画をみると多摩地域の流域下水道については合流式の地域については合流式を前提とした施設整備を行うことが書かれているので、例えば合流・分流については都の方針を待つ必要はないと思われます。  

・公共施設等総合管理は各計画の上位にくるべきものであり、逆に他の計画の前提にするとか東京都に提案するぐらいの心構えが必要と考えます。  

他が決まらないと決められない面もあるかと思いますが、小金井の場合は「検討すらしていない」と思われるケースが散見されるので当たり前の話なのかもしれませんが、改めて項を起こしてコメントしています。

 

3.実効的な計画づくりを行うこと

①そのための推進方策  

・横断的な組織で臨むこと  

 部署ごとに検討してはいけない。それぞれの部署がそれぞれの持ち場を守ろうとして譲らず、複合化など横の連携を前提とした検討も進まない。地域ごとなど横断的な検討組織とするべき。  

 公共施設等総合管理計画では施設類型ごとの方針がまとめられているが、だからといって類型ごとに担当者を決めて進めていたのではうまくいかない。複合化、柔軟な転用などを行うためには部署間を横断して考える必要がある。  

・責任者を明確化すること   

 一方、部署横断にすると誰が責任者かわからず、結論が出ずに迷走することが懸念される。 決定することに責任を持つ責任者を明確にすべき。  

市長は最終的な責任者だが、実務上の責任者を明らかにしておくべき。部長レベルにするかとか、地域ごとに立てるかとか、そこらへんは役所内で議論して決めればよい。  

・スケジュールを明確にし、各節目において明確な指標を持つこと   

 スケジュールを明確にすることは必須。その期限が守られているか、守られていないか明確に判断できる形での期限の設定の仕方が必要である。   

 仮に期限が守れない場合には、その理由を明確に説明できることが必要であり、ならばいつを期限にするかを明確にしなければならない。  

総合計画や行政改革のような、平成○○年 推進、平成○○年 推進。というような言葉が並ぶような期限・目標の設定は無意味。それではやっていなくてもダメなのかどうかわからない。  

・仮に複数チームを作る場合において、他のチームの判断をいたずらに待たないこと。そうしないと判断できないことの責任を互いに押し付けるようになってしまう。

②計画の策定における留意点  

 ・重点志向で優先順位を決めること   

  端的にいうと第一優先は学校と下水道ではないか。   

  市庁舎と福祉会館はこれらの具体的な検討に入る前に方針が決定されているべき問題と考える。  

逆に市庁舎・福祉会館に足をとられて全体の検討が遅れることを懸念する。小金井市においてはこれまで市民に注目されていない、議会で騒がれていないことについては、担当部署が違うにもかかわらずなぜか検討を休んでいたのか、と思われるような状況になることが多い。  必要とされることは騒がれる前に十分に検討をしておくべきである。  

・本当に何が必要か精査すること   

 大規模修繕とは具体的になにをするのか、本当に建て替えをすべきか、個別の施設の状況に即して判断しなければならない。物理的な調査に合わせて、上記で紹介した市民による探検隊で市民の意見をまとめるのもよい。  

 建て替えはどういうものかわかるが、大規模修繕は具体的にどのようなものかイメージがわかない。  設備の改修であれば、もう少し細かい修繕・更新のタイミングがあるし、躯体についてはどういう状況かにより必要となる対応も費用も異なってくる。個別に精査が必要である。

 4.その他の留意点  

 ・タブーを作らない   

 「これについては過去の経緯があるから議論から外しておこう」というのは結局禍根を残す。  

 ・視点を広く持つ 隣接都市との連携を意識   

 すべて小金井市内で自給自足する必要があるのか、隣接市の施設を使った方が合理的なものがないかも検討すべき。

 なお、公共施設総合管理計画の案はHPから消されています。

 最終的な案ができるまではHPに公開しておくべきではないでしょうか。

 下記に市民のために案をアップしておきます。

公共施設等総合管理計画(案)
パブリックコメントの対象となった小金井市の公共施設等総合管理計画です。HPから削除されているのでこちらにアップしました。
公共施設管理計画.pdf
PDFファイル 7.8 MB